世の中には出会ってはいけない人がいる。


きっと彼は私にとってそういう人。


近付いては傷つけあって…傷を舐め合っているようで互いに負担をかけて…


何もかもがいつもすれ違いでうまくいかない。



きっと求め合うものがお互いに違うものなのだろう。



私は彼を満たすことができない。



知らず知らずに生まれたこの歪みは時を経てさらに酷いものになっているようにさえ思える。


思えば彼との日々は幸せのすぐそばで落胆するほどの悲しみが転がっているような毎日だった。


そんな毎日に嫌気が差し別れたのはちょうど二年前の冬だった。



あれから穏やかな日々を手に入れたと思えたはずが今でも時折私の胸を揺らしてくるから、彼はきっと私の人生において忘れられない人であろう。


こんなに拒絶しているのに、めげずにちょくちょくLINEを送るメンタルだけは尊敬にも値すると思うくらいである。


彼の前で私は望まれるように振る舞うとても良い子でいたし、初めての不倫で私はどうせ誰でも良いなら一人の人に一生懸命になろうと思っていたのが幸いしたのか彼にとって心に残る人になってしまったらしい。


きっとどこかで私が本当の意味で離れてはいけない弱い人間だと思っているのだと思う。



哀しいかな…あながち間違ってはいない。



私は心のどこかで彼を拠り所にしていて、困った時の何とかのような感覚で彼の事を利用しようとしている。


そうやって幾度となく傷付け合う。


ボロボロの心でどう向き合うと言うのだろう。






「会いたい。お願いします。」






と懇願する彼に未だに心が揺れる。



アッテハイケナイ…



会えばきっと何かが変わってしまう…。



この一年間そうして彼と会わなかったんじゃないか。





それなのにどうして揺れてしまうんだろう…。




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